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相続の基礎知識(後編)

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司法書士あおい事務所 大森亮一司法書士 028-306-0849

① 相続方法にはどのようなものがありますか?

 

単純承認

 相続を簡単に説明しますと、ある方が亡くなった時に、亡くなった方が持っていた財産を、亡くなった方のご家族の方がもらい受ける制度のことです。単純承認とは、被相続人が持っていた債務を含む相続財産すべてを相続する方法です。通常この単純承認を選択するケースが一般的です。単純承認の注意点としては、相続財産に債務を含んでいるので、相続した債務の額が大きすぎたために、相続財産がほとんど残らないか、債務の額の方が大きかったために借金しか残らない場合があるということです。

 相続人が、⑴相続財産の全部又は一部を処分したとき  ⑵相続開始を知った時から三か月以内に、限定承認または相続放棄の手続きをしなかった場合  ⑶限定承認や相続放棄をした後に、相続財産を隠匿、消費、または悪意で財産目録に記載しなかったときは、いずれも単純承認をしたことになります。

 

限定承認

  限定承認とは、被相続人が残した相続財産のうち、プラスの財産の限度まで債務を支払うというものです。相続財産にプラスの財産とマイナスの財産があって、どちらの財産が多いのかわからないが、相続したい特定のプラスの財産がある場合にこの限定承認を使うことになります。

 限定承認の手続きは、相続開始を知った時から三か月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。ただし、相続人が複数いる場合には、その全員が共同して申し立てしなければなりません。もし、相続人間の意見が合わず、申し立て期限を超えてしまうと、原則として単純承認したものとみなされますので注意が必要です。

相続放棄

  相続放棄とは、相続財産の相続権を放棄することです。例えば、被相続人の残した相続財産のほとんどが債務であった場合に、相続放棄をすることで支払い義務を免れることができます。相続によって取得する財産には、プラスの財産とマイナスの財産両方含まれますので、債務のみが相続財産の場合を想定した制度といえます。

 相続放棄の手続きは、相続開始を知った時から三か月以内に家庭裁判所に申し立てしなければなりません。相続の放棄が家庭裁判所に認められると、次の順位の相続人が相続人になります。

​ また、相続放棄においては、マイナスの財産のみを放棄するということは認められず、すべての相続財産を放棄するという選択肢しかありません。

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② 相続人がいない場合の財産はどうなりますか?

 

 被相続人に法定相続人がいない場合には、家庭裁判所によって選ばれた相続財産管理人が相続財産の清算処理や他に相続人がいないかどうかの捜索を行います。

 相続財産管理人は、被相続人の債権者に対して相続財産から弁済を行い、また、遺言書が残してあった場合には、遺言書の中で相続財産を取得することになっている人へ弁済を行います。

 また、相続財産管理人は、債権者に対して弁済を行い、捜索をしたが相続人が見つからなかった場合には、特別縁故者へ相続財産を支払うことになります。特別縁故者とは、「被相続人と生計を同じくしていた者」、「被相続人の療養看護に努めた者」、「その他被相続人と特別な縁故があった者」といった人を言い、相続財産の分与を受ける可能性のある人です。

 上記の弁済を行っても残ってしまう相続財産がある場合には、最終的には相続財産は国の所有する資産になります。

③ 遺言書と法定相続割合はどちらが優先されますか?

 

 もし、被相続人が遺言書を残していた場合には、法定相続分よりも遺言書の内容が優先されます。よって、遺言書を作成すれば、法定相続分にとらわれずに、相続財産の分配割合を自由に考えることができます。

 ただし、有効な遺言書がある場合でも、一部の相続財産についてしか遺言書で指定されていない場合は、残りの相続財産については、相続人全員による遺産分割協議で取得する相続人を決める必要があります。

 また、有効な遺言書がある場合でも、相続人全員で別途遺産分割協議を行えば遺言書の内容と異なる分配内容にすることは可能です。

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記事掲載日 2021/3/31
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