キッズハウス・いろどりスタッフインタビュー

​本会の空き家活用支援第3弾となる「想いをつなぐプロジェクト」。

本会の会員でもある栃木県若年者支援機構が事業主体となり、食べる・遊ぶ・安心を全ての子どもたちに届ける『キッズハウス・いろどり』が空き家を活用する形で新たに整備されました。

最新号の空き家会議通信では、完成までの本会の支援内容とともに、活動の中心となったスタッフの皆さんのインタビュー記事を掲載しています。

こちらのホームページでは、空き家会議通信では掲載しきれなかったインタビューの全文をお届けいたします。

右)塚本達也(つかもとたつや):栃木県若年者支援機構の副代表であり、いろどりの運営責任者。
中央)荻野友香里(おぎのゆかり):いろどりの現場責任者。子ども大好き。
​左)田中直樹(たなかなおき):調理や学習支援などをボランティアで担当。

―オープンから数日が経過しました。地域の方の反応はいかがでしょうか。

荻野:地域の方に一度ご説明させていただく機会があって、そこでお配りしたパンフレットを見て、さらにそれを見た方がご近所さんにも紹介してくださっているようです。改装の時に様子を見に来てくださったり、お披露目会にも来ていただきました。始まってからも「お米いりますか」と直接ここに持って来てくださる方もいて、温かい皆さんだなと感じています。子どもたちが安心して過ごせる場所を皆さんと一緒につくっていけたらなと。「応援しています」と声を掛けてくれることも多くて、すごくありがたいです。

 

―早速地域の方とコラボする企画があると伺いましたが。

荻野:民生委員さんが考えられていた企画があって、でも場所がないのでできないと思っていらっしゃったみたいですけど、場所を貸してもらえるのであれば実現できるプロジェクトだというお話だったので、同じ地域の中の取組ですし、私たちもぜひ協力できたらなと思って企画しているところです。

 

―今回の改修にはクラウドファンディングを活用されましたね。

塚本:そうなんです。目標額を達成できたのはこれまでもご支援いただいている皆さんがあってこそなんですが、これまでは全くつながりがなかったけれども、こういった活動が大事だと思ってくださる方々もこれほどいるんだと、改めて知ることができました。

 

―支援は資金面だけではないようですね。

塚本:はい。野菜は大谷の農家さんに2週間に一度取りにいく形でいただいていて、今年は暑くて野菜が不作だっておっしゃっていたんですけど、昨日もご提供いただきました。ありがたいことに野菜はほとんど買わないで済んでいるよね?

荻野:そうですね。お肉だけはその日に使わないといけないので、いただくのは難しいのですが、そこは寄付金を使わせていただいています。

塚本:あとは年2回イベントを開催していて、学用品や子ども服を欲しい人はすごく安く買えるというようなバザーもやっています。そこでの服は、お弁当を届ける支援もやっているんですが、そこのおうちの方が子どもが着なくなった服をくださったりすることもありますよ。

 

―いろどりを整備するきっかけとは?

塚本:団体として子ども食堂を2年前からスタートしておりまして、いろんな子どもたちとごはんを食べながらコミュニケーションを取ってきました。ただ、食事だけではなくもっとゆっくり過ごせる時間だったり、お母さんの帰りが遅い子にはほかの大人や友達と一緒に過ごせるようになってもらいたいなと。学童はあるんですが学童に行けない子もいるので、そのような子たちがゆっくり過ごせるような拠点があるともっと自分たちの活動の幅も広がるし、サポートは断片的だと不十分なこともいっぱいあるので、トータルでどう関わっていけるかが大事だなと2年間の昭和子ども食堂で感じたんです。

そうなると以前の昭和の事務所では、通常の事務所として使っているのと、若者支援の活動もあるので、ずっと子どもたちのために開放するとか、子どものプログラムを充実させるのはあの場所では難しくなってきました。スペース的に限界というのがあって、別の拠点を昭和の事務所の近くで探していました。最初は不動産屋さんで探していましたが、商業ビルやマンションの一室というより、おじいちゃんやおばあちゃんのおうちに遊びにいくみたいな雰囲気の建物がいいなと思っていたんですがなかなか見つからない。どうしようと思っていたときに「宇都宮空き家会議」に相談してみたんです。

田中:前と比べて一番よくなったことは広くなったこと。昭和では多い時に20人が一度に来るときがあって満員になってしまい、ごはんができるまでどこかで遊んでおいてという状況になっていましたが、こちらではその人数でも対応できますよね。

 

―条件的にはピッタリの物件だったわけですね。

塚本:はい。ちゃぶ台スタイルでやりたかったし、畳の部屋が多くあるのはありがたいですね。そういうのはビルではできない。子ども食堂をやるために必要な改修は行いましたが、できるだけそのままの形で使わせていただいているのは、地域に馴染んだ家ですし、特別に子どもたちのために作られたものというより、元々あった所に子どもたちが集まるという自然な形がとてもいいと思っています。

地域の中に子どもたちの居場所をつくるということは、地域と繋がるとか、変に壁を作らないことが大切で、どうしてもあそこはああいう子が行く所ってなりやすいと思うんですけど、そうしない工夫としてその建物の雰囲気とか建物の歴史とかは大きな意味があると思っています。「あ~○○さんちの家ね」というようにすぐに分かってもらえますし、そういうのも財産のひとつなんだろうなと。

 

―家財道具もそのままの形で利用されているのが多いですね。

塚本:そうなんです。書籍やタンス、食器なんかも使わせていただいています。あれが人気なんだよね?走るやつ?

田中:ルームランナー(笑)!

―そうなんですか!?外で走れよと思いますけどね(笑)

田中:なんかゴロゴロするのが好きみたいですよ(笑)

塚本:子どもなりに遊び方を考えているみたいですね。処分しようかね~なんて考えていたらいつの間にか子どもたちの大好きな遊び道具になっていました(笑)

 

 

―料理の担当はどなたが。

荻野:ボランティアさんが、1回につき4人くらい来ていただいています。田中さんを筆頭に調理は全部ボランティアさんが担当してくれています。

田中:最近の子は好き嫌いが多いと言われますけど、何でも食べてくれる子が多いですね。

 

―料理のほかにもご担当が。

田中:学習支援を水曜日に担当しています。居場所事業も木曜日にやっていますよ。子どもたちと一緒に遊んだり、ごはんを作ったり。この前は木の枝を組み合わせて犬を作りました。かっこいい戦艦を作っていた子もいましたね。

 

―なぜ「キッズハウス・いろどり」が必要だったんでしょうか。

荻野:私たちは行政からの委託で生活困窮者向けの学習支援もやっていて、生活保護や準要保護の子たちには支援することが出来ていますが、そこに来られない子たちもたくさんいて、子ども食堂をやっていてもそもそも外に出られない家庭には支援が行き届いていないというのもあります。

行政だけではできないこともたくさんあると思っていて、貧困って目には見えにくいというか判断がしにくいところなんですけど、あなたは貧困ではないから支援しませんみたいな線引きがすごく難しい。

そういった中で、やっぱり誰でも来られる場所っていうのは、民間であったり市民の力でやっていく必要があると思うんです。子どもたちがこの地域の中で見守られて育つという場所は、子ども食堂も居場所もそうですけど、周りの大人たちやボランティアさんの子どもたちに対する温かさで出来るものだと思います。

子どもたちには、大人になってからかもしれませんし、今もすでに感じているかもしれませんが、自分がそういった場所で見守られているということを体験して欲しいという想いがあったし、実際にこの場所が温かい場所となるように私たちも心がけていますし、そうなればいいなと思っています。

 

―皆さんのような支援が必要な子どもはたくさんいる。

荻野:子どもの数は減っていますが、準要保護の子どもたちは増えていますし、支援が必要な子どもたちとか、困窮ではなくても様々な問題を抱えている子どもはたくさんいて、いじめと同じでなくなることはないだろうという中で、子どもたちが少しでも安心して過ごせる、おなか一杯ごはんを食べられる、そういった環境を周りの大人が作ってあげることが必要なんじゃないかと思っています。

 

―皆さんを突き動かす原動力とは。

荻野:今もその想いはありますが、一番最初に感じたのは、私にも何か出来ることがあるんだっていう想いが一番強いんです。やっていく中でやっぱり難しいこともたくさんありますし、実際この仕事を誰かに勧めるというのはあまりできないんですけど(笑)。本当に目の前の子どもたちのために何かしたいんだという想いがないと仕事としてはできないのかなって。ただ私がずっと続けられているのは、やっぱり子どもたちの笑顔だったり、少しの変化だったりが見れた瞬間が、やっててよかったなっていう思いに繋がるんです。やっぱり相手が人だからですかね。彼らを変えてあげられるっていうのは難しいと思うんですけど、笑顔になったとか、楽しいと思った経験を届けられたとか、すごくその瞬間がよかったなって思えるので、すごくやりがいは感じながらできています。

 

 

―この写真(上段の3人が並ぶ写真)の荻野さんの笑顔最高だと思いませんか?

荻野:まさかこれが採用されるとは(笑)

塚本:一等賞だよね。

―隣の田中さんのムキムキ具合もすごいですよね?

一同:ハハハハ!

塚本:本当ですよね。ベイマックス(?)みたい。

―何か鍛えてるんですか?

田中:鍛えていないです(笑)

荻野:外壁のペンキ塗りで鍛えられたんじゃないですか(笑)でも本当に何でもできるので頼りにしています。

塚本:不思議な方なんです。

 

―最後になりますが,今後同様の施設を別の場所で展開される予定はありますか。

塚本:いろどりで団体としてこだわった、こうなればいいなと思っていることは、できるだけ低コストで補助金に頼らず、いろいろな人たちの想いを集めて拠点を運営するってことですね。例えば同じような事業で、県がやっている居場所事業なんてのもありますし、日本財団がこういった場所を日本全国で100箇所つくるというようなプランもあって、子どもの居場所の重要性っていうのは社会的認知としてすごく高まっていますし、実際に施策まで落ちているものもあります。

それは行政のものであったら当然なんですけど、要件というものが付くので例えば世帯収入がいくら以下の人が利用可能とか、それはどこかで線を引かなければならない必要なことだと思いますが、民間がやることの意味のひとつはそういう線を引かずに、今必要だと思う子はとにかく「おいで」と言えること。行政も民間もどちらも役割があるので、行政の役割はもっとしんどい子を手厚くするということが僕らよりうまくできると思いますし、逆に、そちらには行けないけども今しんどい子はこちらに来ればいいんじゃないって思っています。

こういう場所って本来、もしかしたらお金をかけなくてもできるかもしれなくて、例えば地域にものすごく面倒見のいいおじさんがいて、困ってたらとりあえずご飯くらい一緒に食べてきなよっていうのは、支援とは言わなくても出来ることかもしれない。

でも、支援をある種の政策として打ち出すと、そういう場所でしか支援ができないっていう逆の見られ方をして、子どもと大人の距離がかえって遠くなるという面もあると思うんです。なのでこういうところでボランティアの皆さんやいろんな人に関わってもらってみんなで応援するんだっていうことと、そんなにお金をかけなくてもこういう場所っていうのは作れるんじゃないかということを提案して、「それだったら空き家もあるし」とか「ちょっとずつお金を出し合って子どもが来られるようにしてみようよ」みたいに参考にしてもらえたらなと思ってやってるんですね。

この前も国会議員の方がお二方視察に来られたんですが、そのポイントっていうのが補助金を使わずにいかに民間のローコストでこういった拠点を増やしていけるかというところを知りたくて来たとおっしゃっていました。そういうポイントは大事かなって思うんですよね。なので今、うちの団体で新たに施設を作るっていうのはないんですが、どこか別の団体とか、子ども支援のグループさんなんかがどこかの地区で小さくてもこんなのを始めますよっていうのが広がればいいなと思ってやっています。

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