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相続の基礎知識(前編)

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司法書士あおい事務所 大森亮一司法書士 028-306-0849

① 相続とは何ですか?

 

 相続を簡単に説明しますと、ある方が亡くなった時に、亡くなった方が持っていた財産を、亡くなった方のご家族の方がもらい受ける制度のことです。

 民法では、亡くなった方のことを「被相続人」と呼び、財産をもらい受ける方を「相続人」と呼びます。

② 相続はいつ開始するのですか?

 

 相続は、被相続人が亡くなった時に開始します。

 相続人が、被相続人の亡くなった事実を知らなくても発生しますし、亡くなった原因を問わず開始されます。

 

③ 法定相続人とは何ですか?

 

 民法の定めに従って、相続人になる人のことを法定相続人といいます。

 法定相続人は、血族相続人と配偶者に分けられます。配偶者は、被相続人が亡くなった時に存在していれば必ず相続人になります。

 なお、内縁の妻や内縁の夫は、民法では配偶者とは認められませんので相続人になることはできません。

 また、離婚した元妻や元夫も民法では配偶者とは認められませんので、相続人になることはできません。

④ 法定相続人の範囲を教えてください。

 

第一順位:被相続人の子

 

 被相続人の子は第一順位の相続人になります。子が数人居れば、同順位で相続人になります。

 養子、非嫡出子(婚姻関係にない男女の子)、離婚後に疎遠になってしまった子も被相続人の子なので、すべて相続人になります。

 また、被相続人の実子で、外に養子に出した子も相続人になります。

 なお、特別養子については、実親との親子関係は特別養子縁組によって終了してしまいますので、外に特別養子縁組により出た子は実親の相続人になることはできません。

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第二順位:被相続人の直系尊属

 第一順位の相続人となるべき者がいない場合には、被相続人の直系尊属(父母や祖父母のように直系する親族で上の世代の者)が相続人になります。

 直系尊属の中では親等の近い人だけが相続人となります。父母と祖父母ともに健在の場合、父母は一親等で祖父母は二親等なので、父母のみが相続人になります。

 また、親等を同じくする相続人が複数居る場合には同順位で相続人になり、その相続分は均等になります。

 

第三順位:被相続人の兄弟姉妹

 

 第一順位の相続人(子)及び第二順位の相続人(直系尊属)も居ない場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

 兄弟姉妹が実子、養子、男女の違いによって区別はありません。

 兄弟姉妹が複数いる場合には、同順位で相続人になりその相続分は原則として均等になります。

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⑤ 代襲相続とは何ですか?

 

 代襲相続とは、被相続人よりも先に相続人となるべき人が死亡している場合に、死亡した相続人の代わりにその子供が相続人になることです。

 典型的なパターンは、「親より子供が先に死亡しているケース」です。本来は子供が相続人になる場面ですが、子供は既に死亡しているため相続人になることができません。ただし、既に死亡した子供に子供がいれば(被相続人からすると孫)孫が代襲相続によって相続人になります。この場合孫を「代襲相続人」、代襲される既に死亡した子供を「被代襲相続人」といいます。

 代襲相続が起こるのは、被相続人の子や孫、ひ孫などの直系卑属や被相続人の兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡しているケースです。被相続人の兄弟姉妹が先に死亡している場合は甥や姪が代襲相続によって相続人になります。

 なお、子供や孫などの直系卑属が先に死亡した場合は何代まででも代襲相続が起こりますが、兄弟姉妹が先に死亡している場合は、甥姪のみが代襲相続によって相続人になり、代襲相続が認められる範囲は一代限りになります。何代にもわたって代襲相続が発生する子や孫などとは異なるので注意が必要です。

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⑥ 相続の対象となる財産にはどのようなものがありますか?

 

 相続の対象になる財産は、基本的には被相続人の所有していたすべての財産です。

 一般的なものとしては、預貯金、現金、不動産、証券、車などがあり、その中でも預貯金、不動産、証券、車などは別途相続手続きが必要となります。

 被相続人の所有していたすべての財産が相続の対象となりますので、借金などのマイナスの財産も相続の対象になります。借金を相続した相続人は、支払い義務を負うことになります。

 生命保険金、死亡退職金、遺族年金等の給付金は、相続の対象ではなく、相続財産には含まれないと考えられています。

 また、一般的に葬式費用は相続開始後に葬儀社との間で契約によって発生するのが通常なので、相続財産に含まれないと考えられています。

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記事掲載日 2021/3/19
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